「民主主義」が新型コロナウイルスと相性最悪であることが証明されつつある
コロナウイルス騒動が続く日々ですが、行政の対応に不満を持っている方は少なくないでしょう。
「緊急事態宣言を出すのが遅い」
「もっときつい(強制力のある)自粛体制(ロックダウン)が求められる」
「アベノマスクは役に立たない」
こうした声があるのはごもっともだと思う反面、人の自由を奪う行為は民主主義に反する行為に他なりません。
「XXをしてはいけない」ということが強制・束縛される社会。そんな人間の自由を損ねる行為と断固戦う姿勢と長い戦いの末、人類は第2次世界大戦後、パクス・アメリカーナという言葉に代表される平和を築いてきました。
ところが、アメリカだけでなく西側の主要都市はロックダウンを実行、人々の行動は著しく制限されました。
コロナウイルス拡散防止のために必要な措置とはいえ、「一時的に民主主義を放棄し、国家統治による世界」が訪れたのです。逆に言えば、民主主義を貫こうとすれば、よりいっそうコロナウイルスは蔓延していたことでしょう。
ここで思い出すのが、「20世紀最恐の悪魔」であるアドルフ・ヒトラーです。彼は第一次世界大戦の敗戦国であるドイツで救世主のように現れ、またたくまに政権を築き上げました。
人類にとっては悪夢のような歴史。しかし、あの聡明なドイツ人が彼を選んだのもまた事実です。そんなヒトラーが民衆を引き付ける術を記したのが「ヒトラーの大衆煽動術」です。
まさかこの本が文庫化されているとは知りませんでした。とはいえ、今は「より強いリーダーシップが求められている世の中」です。もし、ヒトラーの話術はどこかで必要なのであれば。。。さあ、では黒いカギ十字の扉をそっと開けてみませんか。
強いリーダーシップが求められる世の中。しかし、独裁とカリスマは紙一重なのか?
本著には、ヒトラーが大衆を先導するために使った45の大衆煽動術です。いくつか紹介しましょう。
ヒトラーは演説する時間と場所にも気を配った。彼は、いつでも、どんな場所でも演説をするわけではなかった。
ヒトラーは聴衆の心理的抵抗が最も弱い時間帯、つまり夕暮れ時に演説時間を設定したのだ。午前中は判断力も鋭いが、半日経って夕方になれば、だんだん鈍くなって心の防御を解き、他人が言うことも素直に聞き入れるようになる。
まさか、安倍首相がこのことを知って夕方以降に会見しているわけではないでしょう。しかし、朝または昼に会見を行っていたら、より強い非難を受けていたのではないでしょうか。
大衆を団結させるには共通の敵が必要だ。ワールド・カップがあれだけ多くの人を結束させるのは、戦って勝たなければいけない相手がいるからだ。
民主化運動の指導者が大衆を煽動できるのは、倒さなければあらない独裁者がいるからである。(中略)ヒトラーは、大衆を結束させる最も効果的な方法が「共通の敵」を作ることであることをよく知っていた。
「3密を減らしましょう」「不要不急の外出は避けましょう」は人の心の中にある理性に訴えるものであり、守らないものも出てきてしまいます。なので、自粛要請を守らないパチンコ店が出てくるわけです。
もしヒトラーであれば、コロナウイルス=人類の(共通の)敵、という認識を持たせる政策を施したかもしれません。民衆の結束力を高めるために、対立構造を作ることがいま、求められているのかもしれません。
立派なリーダーになろうと思えば、優秀な役者にならなければならない。気分が良い時でも怒った顔をしなければならないこともある。気分が悪い時でも明るい顔をしなければならないこともある。演技のできない人が他人にアピールするのは難しいのだ。
だんだん、引用しているうちに怖くなってしまいました。あとの煽動術は、本著を手に取ってご覧ください。
そんなヒトラーこそが、オリンピックに神聖なイメージを与え、国家意識を関連付けて盛大な式典に変えた最初の政治家でした。そのオリンピックが延期になったのは、単なる偶然でしょうか。それとも・・・。
なお、この記事を投稿しようと思ったきっかけは、私が属している「本シェルジュ」で、「ドラッカー・スクールのセルフマネジメント教室」を紹介した際、過去記事で人気を集めていたのが本著だったからです。
「本シェルジュ」での本著の紹介はこちらをご覧ください。(本記事で紹介していない引用個所も複数あります。)また、「ドラッカー・スクールのセルフマネジメント教室」については過去記事をご参照ください。
