ドラッカーのいうセルフマネジメントとは?

ピーター・ドラッカー氏と聞くと即座に「マネジメント」と答える人がほとんどなのではないでしょうか。2005年に他界したドラッカー氏の経営理論は日本の経営者に大きな影響を与えました。
ただ、「マネジメント」という言葉を聞くと「(他者を)マネジメント(する)」というように思いがちです。私自身もまたその1人でしたが、今回紹介する「ドラッカー・スクールのセルフマネジメント教室」では以下のように書かれています。
ドラッカー氏は「他者をマネジメントするためには、まず自分自身をマネジメントすることだ」と言っています。彼は、早くから、セルフマネジメントを重視し、彼の経営に関する体系の根幹の一つに位置付けていました。
私にとって意外だったのが「まず自分自身をマネジメントすることが重要」ということでした。
そして、ドラッカー氏の考えを受け継ぎ、セルフマネジメントについて35週間もの講座をドラッカー・スクールで行っているのが著者のジェレミー・ハンター氏です。
日本でも活動しており、この本の出版記念イベントも企画されていましたが、残念ながらコロナウイルスの影響で延期になってしまいました。また次の機会を楽しみにしています。
ドラッカーが説くセルフマネジメントを行うために
本著は35週間に及ぶ講座の「5週間ぶん」ほどだそうです。つまり本著は最初のとっかかり(入門書)という位置付けですが、何事もまず最初が肝心です。
加えて、和訳が秀逸で、一つひとつ丁寧にわかりやすく伝わるよう書かれていると感じました。
さて、肝心のセルフマネジメントを行う手法ですが、インテンション・リザルト・マップ(IRマップ)というのを利用します。
IRマップには2種類あり、1つめは現状(望んでいない結果)からありたい姿(本当に望む結果)を導くものです。2つめは、ありたい姿(本当に望む結果)を得るために意識・行動を変え、望む結果になったかどうか、を見ていくものです。
ただ、その前段階、つまり「望んでいない結果をもたらす要因」(サバイバル反応、情動反応とマインドレスネス)と「セルフマネジメントを実現させる土台」(ストレス、休息)について学ぶ必要があり、このあたりが少し難しいです。
特に”マインドレスネス”という言葉は聞きなれない言葉です。ただ、詳細を書くとネタバレになってしまうので、内容については本著をお読みください。そしてそれらを理解した上で、IRマップを何回か回します。
というのも、繰り返し使うことでコツがわかるとのことなので、私も現在試行している最中になります。
ただ、本著ではいくつか例が挙げられていましたが、その多く(望んでいない結果)を生み出しているのは、自分の思い込みや、無意識のうちについつい行っている悪習慣からくるという点であることです。
そしてIRマップは即効性のあるものではなく、地道に繰り返し、何度も手戻りしながら進めるという点が丁寧に書かれていました。
- 人(他者)をマネジメントする際にはまずセルフマネジメントが重要
- IRマップを使って、実際にセルフマネジメントを行う。この際、どこかに「~でなくてはいけない」という思い込みや「気が付いたらXXしていた」という悪習慣が、”望まない結果”に結びつきやすい。
- IRマップを書いてもすぐに何かが変わるわけではないが、半年、1年と続けていくうちに変わっていくようになる。
なお、本書について、著者ジェレミー・ハンターの記事が再編集・配信されていますのであわせてご参照ください。また、IRマップもpdfでダウンロード可能です。
(2020/4/17追記) Transform社のブログで当記事を紹介していただきました。私自身のIRマップ、時期をみて公開したいと思います!
(2020/4/28追記) 他のサイトでも本著を紹介しました。本記事とは少し視点を変えています。詳しくはこちらをご参照ください。