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次世代マネジメント「アンコンシャス・バイアス」とは?(レビュー)

無意識の偏見「アンコンシャス・バイアス」とは?

アンコンシャス・バイアスって聞きなれないんですけどなんですか?

そんな声が聞こえてきそうですが、これは人間が持つ「無意識の偏見(思い込み)」のことです。

例えていえば、「あいつは関西人(関西出身)だから面白いだろう」みたいなものです。大物芸人に関西出身の方が多くても、おとなしい方も普通にいらっしゃいます。皆さんの周りにも「え?関西出身なの?」という方、いらっしゃいますよね?

そして、アンコンシャス・バイアスはビジネスの現場でよく出てきます。例えば以下の例になります。

  •  男性のほうが、女性よりも上昇志向(出世意欲)が強い。
  •  女性は細やかな気遣い、心配りができる。
  •  女性は事務作業やアシスタント仕事に向いていて、男性は営業成績などの数字に強い。
  •  育児中の女性には重要な仕事は任せられない。
  •  女性は管理職(リーダー)になりたがらない。

これらはあくまでも例ですが、50代の方は「なんとなく同意」できることが多くありませんか。なぜかというと、人間長く生きていると、時としてそれまで培ってきた経験が(考えを改めることに対して)邪魔するからです。

「普通そうだろう」と自分が思っていても、その「普通」は人によって違います。要因もまちまちで、性別、年齢、出身地、家庭環境、国籍、理系/文系、などあり、正解はありません。

そして、このアンコンシャス・バイアスは時として悪い方向に走ってしまいます。職場の例で改めて言うと、「なんでこんなこともできないんだ」「彼はまだ若いから」といった”決めつけ”が発生します。

そして、そういった無意識の行動、言動が、職場の硬直化やモチベーションの低下を招きます。




アンコンシャス・バイアスはなくすものではなく、つきあうもの

とはいえ、アンコンシャス・バイアスをなくすことはできません。アンコンシャスは文字通り「無意識」という意味なので、なくそうとしても、知らず知らずのうちに行って(言って)しまうものです。

大切なことは、

  •  誰にでも「アンコンシャス・バイアスはある」と認識すること
  •  アンコンシャス・バイアスはこれまでの経験に基づくことが多い
  •  あくまでも「認識の違い」であって「正しい」「間違っている」という話ではない

ということを、理解することです。

理解してうまく付き合うことができれば、アンコンシャス・バイアスが生み出す負の側面、「決めつけ(きっと**だろう)」や「押し付け(普通は**だろう)」を減らすことができます。

より詳しい代表的な15のアンコンシャス・バイアスについては、こちらの本をご一読することをお奨めします。(なお、関西人=面白いというのは「2.ステレオタイプ」に該当します)

ただ、みんな持っているのならどうしたらいいのかわからないよ、という方はいらっしゃいませんか。ですが、これからのマネジメントには必要不可欠なものです。

なぜなら、このアンコンシャス・バイアスはグーグルが名付け、世界に先駆けて社員教育活動を始めたことで、一躍有名になった言葉でもあります。

・・・。

はい、ここで私はアンコンシャス・バイアスを使いました。つまり、「グーグルが取り入れているんだから、きっと意義のあるものなんだろう」という”思い込み”をここであえて誘発してみました。(「6.権威バイアス」に該当します。)

そうは言っても、「対処するのではなく認識する」「なくすのではなくうまく付き合う」という感覚を持つというのは、とても難しいことです。

ただ、アンコンシャス・バイアスが出てしまうのは、何かに対処する場合に「自己防衛心(=自分が悪くないように理由付けする)」が働くことが多く、特に管理職の方が意識していないと、組織風土に悪影響を及ぼします。

そして難しいがゆえ、自分1人だけ認識しても効果はなく、社内全体に浸透させることが必要です。会社で取り入れる場合は、社内セミナーを開くか、E-Learning教材で学ぶという手法が有効です。

この記事を読まれた方、せっかくの機会ですので職場に取り入れてみませんか?