地域活性化

富山県氷見市ワーケーションの旅【2022年3月】

 2022年3月。オミクロン株がようやく落ち着き、まん防も解除される直前の3/19,3/20に富山県氷見市にお伺いしてきました。同市を訪れるのは昨年12月以来2回目。1回目と2回目とではまた印象が異なるというのもまた面白いところで日本の「四季」を感じる瞬間でもありました。

 今回は「ワーケーション」の旅でしたが、仕事はありません。そもそもワーケーションの定義は人それぞれです。自営業者(特に場所を問わず働けるIT関係の方)であれば、うまく時間のやりくりをすれば、途中に「休み」をはさむことも可能です。ただ、サラリーマンの場合、「働く場所が変わっただけ」になってしまうと「交通費を自腹で出す出張」と変わりありません。ただ、逆の視点(受け入れ側)で見た場合、どういう方が対象になるのか、どうやればワーケーションが成立するのか、ということについては、まだ試行錯誤の段階です。その意味では、今回、市がH.I.Sに業務委託し、行った今回のワーケーション。とても意義のあるものでした。コロナの影響で企画書を丸々書き直したという話を聞き、感銘を受けました。

1泊2日の工程は概ねこんな感じです。
 初日:11:40 現地集合(その後、各自で昼食)
    13:30~ 氷見市海浜植物園にてセミナー
    18:00~ ホテルにチェックイン
 2日目:午前中は各自自由行動
    13:30~ 氷見市海浜植物園にてセミナーまとめ
    16:00  解散

という内容で観光要素は一切なし。かなり大胆な設定です。参加者の負担は氷見市までの交通費と昼食代のみ。これがすごく絶妙でよかったです。交通費まで市が負担すると、人は集まるのでしょうが、逆に多すぎてコントロールできなくなるという事態が想定されます。「そこそこの費用が発生するから参加者は本気になって取り組む」という効果があるように自分には感じました。 

氷見市の魅力

富山県氷見市といえば、「藤子A不二雄」先生の出身地で有名です。町のいたるところに藤子先生のキャラクターが見受けられるのが特徴です。

写真はハットリ君ですが、「プロゴルファー猿」「怪物くん」「笑ゥせぇるすまん」など、数々のキャラクターがありました。これらが見られるのは、主に氷見駅近辺の商店街なのですが、ここ3kmくらいの、いわゆる「シャッター商店街」です。ただ、氷見市は2次交通(バスなど)がなく、多くの人が車移動。泊まったホテル(ルートイングランティア氷見 和蔵の宿)の周りの大通りが現在の氷見市の生活圏となっています。いわゆる郊外型の大型店舗(ヤマダ電機やオートバックスなど)がこのあたりに密集しており、駅前の商店街がなくとも生活には不自由しないと感じました。

こちらが「氷見市海浜植物園」なのですが、ここを観光しないのが今回のワーケーションの特長。セミナールームで講師の話を聞き、ディスカッションを行う。旅の要素が入ってしまうと「(土日とはいえ)ワーケーションらしくなくなる」という一連の流れが、今回とても良かったです。こちらで行ったワークショップについては、大まかに話すと「社会課題を解決する」「そのために自分が出来ること、興味あることは何か」というものでした。2日目午前中には講師の方との面談もあり、いろいろと考えた2日間でした。

ホテルについても触れておきます。写真は晩食なのですが、ビジネスホテルとは思えないほど豪華。特にこの季節はホタルイカの沖漬けが最高でした。(富山湾で取れるので、富山県全体での特産品になりますが)氷見市で言うと、イワシが最高に美味しい季節。2日目の昼食でいただきました。

徐々にできつつある”新しい氷見”

 先ほど「氷見駅周辺はシャッター商店街」と書きましたが、一部、移住者を中心とした新たな街づくりが行われています。写真のフィッシュレザーもそのひとつ。魚の皮で、1つひとつが違うもので味わいがあります。また、tototo代表の野口さんは大変心優しい方で、今回の訪問では大変お世話になりました。私もこちらを使ったトートバッグを使わせてもらっています。その他にも、コミュニティスペースのHIRAKUや、週2日のみ営業の「考えるパンkoppe」など、魅力あるお店が並んでいます。

写真は「ヒミビリコラボ」さんのものです。氷見は漁業が盛んですが、山もまた魅力。スギをブランド化しようということで、官民一体となって取り組んでいます。「行政と民間の連携」という言葉は言うほど簡単ではない部分もあると思いますが、数々の取り組みと共に、氷見の街は生まれ変わろうとしている、そんな気がしました。

氷見と言えば、代表的なものは「ブリ」でしょう。ただ季節的にはピークを過ぎており、冬場の脂の乗った時期にまた来たいと思います。写真は「氷見漁業文化交流センター」というところで、ブリを中心とした氷見の漁業について学べます。

写真は路面電車です。こちらも名物だそうで、街の人が手を振っているのが印象的でした。2日間のワーケーション体験を通じて思うことは、実際にここで暮らすとなると、冬場の寒さなど「住んでみないとわからない」ことが多々あると感じたことです。これは氷見市だけでなく、北陸全般に言えることなので、市がワーケーションに力を入れるのもよくわかります。「行きたいときに行ける街」「行ったときに活気あふれる街」がこれからの街づくりに重要なことだと感じました。東京からは新幹線、乗り継ぎを含め片道3時間。ほどよい近さではないでしょうか。また次回、どんな季節にどんな顔を氷見市は見せてくれるのか、とても楽しみです。