海外関連

外国人労働者を受け入れるにあたって(1)

来るべき未曽有の人材不足に備えて

飲食店やコンビニエンスストアでは、外国人従業員を見かけることがすでに一般的になりました。私がかつて電機メーカーにいた頃は、工場の作業者として外国人を見かけることがありましたが、接客業ではここ数年で急激に増えてきたように思えます。増えた、というと「確かにね」と思われるかもしれませんが、もう既に「外国人抜きでは成り立たない」ところまで来ているのが日本の実情です。NHKでは「外国人”依存”ニッポン」という特集を組み、書籍も出版され話題を呼びました。(上記サイトのプロローグだけでも読んでほしいです。) そして、総務省の発表ではプロローグで上げられていた数字(2018年段階)よりも外国人人口は更に加速し、全国で266万7,199人、東京都で55万1,683人(2019年1月1日段階)となっています。東京都が一番多いのは想像がつくかと思いますが、「外国人住民の割合が最も大きいのも東京都(4.01%)」と聞くと驚きを隠せません。

この流れは、人口減少社会を迎える日本では更に加速するでしょう。製造業、小売業だけでなく、今の日本社会で外国人の登用は産業問わず「待ったなし」の状況に来ています。実際、外国人人口が増えているという現状は、(外国人から見た場合)日本で働くことに魅力を感じており、日本に来たいという外国人(特に中国、ベトナム、フィリピンといった東南アジア)がいるからに他なりません。では、彼らをどのように受け入れればいいでしょうか?



外国人受け入れには日本側の異文化許容が必要

ただ、外国人の受入れはそれほど簡単ではありません。日本人は単一民族・単一国家でり、どの地方でも日本語だけで会話が通じます。ところが、日本語を習得して(それもすごく努力して)日本にやってきた「外国人」が日本人と一緒に仕事をするのは簡単なことではありません。理由はいくつかありますが、

  1.  日本は多種多様な食事があり本当に美味しいですが、「ベジタリアン」「ハラル」といったサービスを提供できるお店は正直少ないです(食事の問題)
  2.  イスラム教で行われる「礼拝」「ラマダン(断食)」や中国圏の春節・国慶節といった行動や休みに対する理解が必要になります。(宗教、文化の問題)
  3.  日本にいる外国人労働者の年金,保険,さらには子どもの教育に関係する事項についてはまだ法の整備、対応が不十分です。(社会、行政の問題)
  4.  日本人が英語を話せないことから、日本に来た外国人が日本語学習を行うことを過度に期待してしまう問題(コミュニケーションの問題)

といったところが挙げられます。さらに、実際に外国人をは受け入れるにあたっては対象となる業種、受入外国人の国籍によって対応を個別に考えなければいけないので大変です。特に中小企業の場合、人手不足が大きな課題である一方、たくさんの人材を雇うことも難しいです。ただし、外国人を単なる「労働者」としてみるのではなく、積極的に取り組むことを考えると想像以上の期待効果があります。具体的には、彼らの英語力を活かし海外展開に事業を発展させていくケースや、外国人従業員が次の新規採用にあたってメンターとなり、優秀な人材を継続的に雇用していくケースがあります。また、2019年から新たな在留資格「特定技能」も導入され(IT人材も対象になる可能性が高いです)、今こそチャンスという言い方もできます。この他にも書きたいことはありますが、次回に続きます。

  1.  人手不足が慢性化する社会では外国人労働者の存在が不可欠。特に中小企業では外国人の受け入れを真剣に考える必要がある。
  2.  ただし、業種、国籍によって、外国人受け入れの体制をどうするかを考える必要がある。職場環境だけではなく、日々の生活も含めて。
  3.  外国人労働者には母国語・英語・日本語のトライリンガルな人材もおり、単なる受け入れだけでなく、海外進出への足掛かりや新たな人材獲得など期待以上の効果も見込める。