中小企業診断士

キャッシュフロー経営の重要性

日本政策金融公庫の方と話をしてきました

コロナウイルスの影響が日増しに強くなり、人が集うイベントはめっきり少なくなりました。本日品川区のインキュベーションセンターで開催されたイベントも中止になるのでは?思っていましたが、無事開催されました。わずか1時間ほどで、日本政策金融公庫の方とざっくばらんに話すという会でしたが、それでも勉強になることが多々ありました。日本政策金融公庫については、その基本理念にある通り、民間金融機関の補完という位置付けであることを明言しており、民間金融機関では貸さないような条件でも融資を行う場合がある(ので積極的に中小企業の方々に利用してほしい)というのがメッセージでした。ただ、言うまでもありませんが、何の理由もなく貸すわけでもなく、またこの低金利時代においては、融資を受ける場合でも「民間の方が金利が安い場合がある」と明言されていました。では、公庫の方が融資を行う基準が何なのか? 非常に興味のあるところです。この問いに対し、公庫の方は2つの基準があると答えてくれました。

  1.  使途(そのお金はいったい何に使うのか)
  2.  キャッシュフロー(B/SやP/Lではなく、返済可能かどうかについてキャッシュの流れが知りたい)




キャッシュフローは厳密なものでなくてもよい

ここでまず使途ですが、例として診断士に限らず士業は基本的に「独立開業にあたって初期投資が少ない」という特性があります。それでも人を雇いたい、事務所を構えたい場合などの場合に融資を受けるケースがあるとのことです。そうした場合に「理由付け」が明確かどうか。融資を受けられるかどうかのポイントはまずそこにあります。そしてもう1つ。これがキャッシュフローなわけですが、ざっくりでもいいので計画を出してほしいと公庫の方はおっしゃってました。とはいえ、これは経営者の方にとって難しいことだと思います。会社であれば決算があり、

  1.  貸借対照表(B/S)
  2.  損益計算書(P/L)
  3.  製造原価報告書(※製造業のみ)
  4.  株主資本等変動計算書
  5.  個別注記表

 の作成が必須となります。ただ手元にB/SやP/Lがあっても、それをキャッシュフローという形で「見える化」するのは容易ではありません。その点を公庫の方にたずねると「ざっくりとしたものでもいいので作ってほしい。経営者の方には作り方や考え方を公庫としてもサポートしている。ただし、あまり作成に手間がかかるようであれば専門家(税理士や診断士)を活用してほしい」とのことでした。私もうなずくところが多く、手元にどれだけのキャッシュがあるのかという点は、重要なことだという認識はあっても見落としがちです。そのため、赤字でなくてもキャッシュが回っていないようであれば、融資を受けることを選択肢の一つとして考えるべきですし、融資元も特定するのではなく「民間+公庫」のように使い方を分けてもいいと思います。公庫の方も、今日のイベントでは特に何かを求めているわけでもなければ、何かをアピールしたいということでもなく、「何かあったら気軽に相談してほしい」という真摯な姿勢を強く感じました。また、本日聞いたその他の話では、海外展開を行う場合に公庫では輸出や海外展開についても各制度を設けているのでぜひ活用してほしいとのことでした。(相手国側で資金調達すると相当な金利がかかるため。)

  1.  融資を受けるポイントの1つに「キャッシュフロー」がある。キャッシュフローを把握することは経営において重要なこと。
  2.  ただし、経営者がキャッシュフロー計算書を作成するのに時間がかかってしまっては本末転倒。必要に応じて専門家を活用する。